日本で唯一の「遊べる動輪」 ~C57動輪記念碑完成までの記録~
2015年2月の動輪記念碑除幕式で、けやきライオンズクラブさまの会長が試乗しているところ
このC57動輪は けやきライオンズクラブ様の創立20周年の記念碑として、2015年2月に誕生ました
地元「春日井けやきライオンズクラブ」さまから創立20周年記念行事として愛岐トンネルにC57型蒸気機関車の 動輪を記念碑として贈呈いただけることとなり、2015年2月に除幕式を挙行することが出来ました。 設置場所は「レンガ広場」です。このページは、2ヶ月間に渡る設置工事の記録です。
動輪の記念碑といっても、遊び心満載のわが会員たちのこと。でんと置いただけではつまらないと、動輪の 「動態保存」に挑戦しました。直径1.75m、重量3トンほどもある動輪を人力で回して 遊んでしまおうというアイデアです。おそらく日本唯一でしょう。
会員の奮闘と中部大学からの甚大なるご協力とで、我が国初の遊べる動輪モニュメントが 完成しました。自転車をこげば、C57191号機の動輪がゆっくりゆっくり回転するのです。予想通り、春と秋の公開時には行列ができるほどの人気アクティビティーとなりました。会員は「してやったり」です。
春秋の公開にお越しの際は、あなたもぜひ動輪に会いに来てください。そして自転車にまたがり、動輪を回転させて みませんか。C57の力強く驀進 (ばくしん)する様子が思い浮かぶに違いありません。
※ほとんどの画像は拡大表示・連続表示が可能です。画像をクリックしてご覧ください。
「遊べるC57動輪」の完成までの作業 2014.12~2015.2
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●現役時代のC57191号機
九州・鹿児島機関区にて 撮影/小倉信一氏1972年8月。愛岐トンネルの動輪はこのSLの第1動輪です。
※この写真は撮影者の許可のもと掲載しています。 ▶小倉信一氏のページはこちら -
●動輪積み込み
このC57動輪は愛知県下のとある場所に数10年間、秘蔵 されていました。所有者のご好意によりお譲りいただくことができました。 -
●トラックで運搬
動輪は3トンもあります。大型トラックで運び、愛岐処分場の駐車場に到着。 この日は雪のちらつく寒い日でした。 -
●大型クレーン登場
高層ビル建設現場で活躍する最大級70tクレーン車を愛岐処分場の駐車場に設置。 周りの自動車と大きさを比べてみてください。 -
●動輪を吊り上げ 70tクレーンの巨大ブーム(腕)がしなり、6号トンネル多治見側の小川を飛び越えて動輪が 廃線敷へ着地しました。
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●6号多治見口に着地
雪降る中、積年の想いが詰まった動輪が愛岐トンネルの 敷地に着地。メンバーから思わずバンザ~イ!の声が・・・。 -
●横持ち作業始まり
運搬用鋼鉄台の下にコロを敷き、設置ポイントまでの 長い移動(横持ち)作業が始まります。 -
●6号トンネルの中を横持ち
レンガ広場の5号トンネル横まで、暗く長い6号 トンネルの中を横持ち作業中。コロを順次前送りしながら、慎重に歩みを進めます。(目的地までトラックで 直接搬入できない場合の横移動作業を「横持ち」といいます。) -
●6号横持ち終わり
何と5時間かけて333mの6号トンネルを通り抜けました。 ”亀さんより遅い” との声がしきり。安全第一です。現場までもう少し。 -
●カニクレーン?
動輪と一緒に運びこんだ「カニクレーン」です。 現地でのセッティング作業に使います。蟹足のようでしょ! -
●最後の横持ち
動輪はレンガ広場を通り、5号トンネル手前で 「左向け、ひだり」すると、設置場所です。 -
●やぐらを組み立て
動輪を吊り上げるための櫓(やぐら)を組み立て、 そのやぐらを利用して、動輪を吊り上げます。 -
●回転装置
重要な「回転装置」を動輪の下に挿入! -
●回転装置設置終り
動輪と回転装置の設置が完了しました。 やぐらは不要なので、解体にかかります。 -
●やぐら撤去
やぐらも撤去しました。つぎは自転車の取り付けです。 -
●自転車を取り付け
自転車も取り付けできたところで、漕いでみる。 動輪がゆっくりと回転しました。やったー! この日の重量運搬業者さんの作業は無事終了しました。これで一段落。 -
●日を改めて、サビ落としと塗装
残った次の大仕事、それは動輪のさび落としと塗装です。 サビ落とし・ペンキ塗りになんと2ヶ月かかっちゃいました。下地塗料で白くなった動輪は二度と拝めない姿です。 -
●周辺の整備
動輪周りのスペースを広げるため小山を整地し、 動輪の周りにレンガを敷き詰めました。モニュメントらしくなりました。 -
●レンガ敷き詰め
動輪の周りは枕木で段を作り、レンガを敷き詰めます。まるでプロの仕上がり! -
●最後の仕上げ
除幕式も近づいてきました。みんなで最後の整備作業です。 -
●晴れの除幕式
2015年2月22日、けやきライオンズ様とトンネル会員が参加し、晴れの除幕式が和やかに挙行されました。 C57動輪が姿を表した瞬間には、参加者から歓声が上がりました。 日本で唯一のC57動輪の動態展示がここに完成しました。関わった多くの会員の喜びもひとしおでした。 -
●除幕式俯瞰
除幕式の全容を5号トンネルの上から見たところ。 -
●説明プレート
動輪の横にある説明プレートです。 春日井けやきライオンズクラブさまから「設立20周年記念のアクティビティー」 として当会に動輪モニュメントを贈呈いただいたとの趣旨の碑文です。転載しますのでご覧ください。 C57型蒸気機関車の動輪 (碑文)
1900年国鉄中央線名古屋~多治見間が開通し、鉄路は当時の中部地方の近代化に多大な貢献をしました。 1966年複線電化のため定光寺~多治見間に新線が建設され、13隧道を含む約8㎞区間が廃線となり、懸崖の叢中 (けんがいの そうちゅう)に忘れ去られました。2007年市民により発見され、100年先の未来へ遺すための保存再生活動が 始まっています。当会は、郷土の貴重な歴史遺産「愛岐トンネル群」を未来に継承する市民活動に賛同し、設立20周年を 記念してこの地に相応しいSLの貴婦人と呼ばれる「C57型蒸気機関車の動輪」を記念碑として贈ります。この愛岐トンネル 群が地域の歴史を語り伝え、この日本一の巨大なSL動輪のように、若者たちが大きな力で躍動・前進し、明るい未来に 貢献することを願います。
2015年2月吉日
春日井 けやきライオンズクラブ 会長