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愛岐トンネル群ものがたり
「産業遺産の廃線とトンネル群 ただ今、再生中!」


 6 廃線上のアクティビティ

 トンネルや樹木など、静止物ばかりの廃線敷沿いには、会員手づくりの水車が回り、大木の枝を利用したブランコが作られるなど、 ホッとできる癒やし空間が点在し、観る人、歩く人を和ませている。密林からの大変身。平成27年2月には、新たに蒸気機関車の 動輪を入手し、地元大学の協力で、自転車を動力源にした動輪の動態展示を始めた。日本で初めての、突拍子もない動態展示であると自負している。SLの貴婦人と呼ばれたC57型機関車の動輪で、直径は1750ミリメートル、重量もおよそ3トンと国内最大である。 しかし、子供でもペダルを漕いでその大きく重たい鉄の塊を回せるとあり、公開時にはちびっ子たちの歓声と長い行列ができている。

    SL動輪を楽しむ
    動輪を1回転させるのに約3分間漕ぎ続ける。設置以来すでに640回転。
    始発の名古屋駅から3.5キロメートル進んだ計算の延伸マップも掲示している。
 

 
 7 暗から明を、無から有を

 春・秋の特別公開のほか、「せっかく真っ暗なトンネルだから、太陽の陽を入れて金環日食を観よう」と、太陽の陽をトンネル中のスクリーンへ投影して日食を楽しむ「日食観望会」も開催した。当日は300人を超す人々が、投影された直径80センチメートルの巨大な太陽が刻々と変化する姿を肉眼で楽しんだ。この珍しいトンネル内の日食観察は、NHKが何度も繰り返し全国放映してくれて、大きな反響を呼んだ。
 また、廃線跡を舞台に現代アート展※を開催した。トンネルも用いて音や光のパフォーマンスやモダンバレエ・朗読会などを繰り広げ、芸術家等から 「想定外の企画」として予想を上回る賞賛を得ることができた。無の中から有を生み出す。この産業遺産の魅力にもっと注目してもらいたいという 思いから、創造力の限りを尽くして様々なアクティビティを興してきた。
    ※「愛岐トンネル群アートプロジェクト2013・荒野ノヒカリ」のサイトはこちら

 
 8 土木遺産のトラスト活動

 全長8キロメートル余の廃線は、愛知・岐阜両県にまたがり、地権者も民間、地元自治体(名古屋市・多治見市)、JRと多岐にわたる。 そこで、平成21年、整備中の愛知県側民間所有地1.7キロメートル、5ヘクタールの廃線敷を、市民の寄付で買い取るナショナルトラスト 運動を愛知県下で初めて開始した。
 地元自治体からの支援を一切受けず、市民の熱意と奉仕の「市民力」による活動に共感が広がり、また、領収書代わりの硬券切符復刻版にも人気が集まり、予想期間よりも短い5年の歳月で、平成27年6月、ついに愛知県側の敷地取得が実現した。トラスト本来の自然環境の保全ではなく、土木構造物の保全環境を獲得するという「産業遺産とその敷地の買取」は、全国でも珍しい特異な事例として新聞やテレビでも報じられた。

      
        お茶容器は耐熱仕様のため、徳利代わりに求める方も多い。


 9 百年前の遺産を百年先の未来につなぐ

 一昨年に廃線でイイモノを見つけた。昭和初期まで駅弁とともに売られていた陶器製お茶容器「汽車土瓶」のカケラである。偶然この辺り は、全国一の窯業地帯、汽車土瓶製造の主要拠点でもあったのだ。このメリットを活かし、多治見の地元窯業者と連携して明治期の汽車土瓶 の復刻・販売を始めた。これも全国規模の雑誌に取り上げられて、全国各地から問い合わせが殺到し、第一次納入分は完売。製作依頼した窯業者が新商品として販売アイテムに加えるなどの意外な広がりも見せている。また、会員の若者が、現地に自生するモミジから、全国でも珍 しい 「もみじ茶」やモミジエキスを使った「もみじサイダー」を開発し、ベンチャー企業として創業するなど、地域産業の振興にも一役買っている。


 10 線路がつなぐ、人の輪、地域の輪

 広域・大規模な土木構造物で、複数の地権者により所有されている愛岐トンネル群の今後の保存と活用については、意思形成、合意形成が難しく、地権者間の連絡調整にも時間を要するため、「市民力」に依存せざるを得ない状況がある。そのため、現在は、これらの廃線敷に隣接する既存のJR駅間3.5キロメートルを、電車に乗らずに廃線跡を歩いて移動できる「駅間フットパス(通り抜け)構想」を提唱している。

  散策路、ネイチャーロード等としての「線」の利用にとどめず、県境を越えた二つの駅の周辺に存在し、単体では大きな吸引力に満たない施設や観光地と連携することにより、「面」としてのより魅力的な広域観光資源を作りだせないだろうか。そのための触媒的、起爆剤的役割を愛岐トンネル群が成し得ないものか。行政圈を超えた「広域の新たな観光資源」として、地域全体での再利用・活用を呼びかけ始めている。


 

 11 線路は続くよ、どこまでも

 愛岐トンネル群再生の第一ステージは、市民の力を集め、最前線に掲げながら進められてきた。その過程で入場者数の統計値や各種イベントの成果など、計量的データや実績を積み重ね、蓄積してきた。
 第2ステージは、これらの成果と経験をいかに調理するかにかかっている。2県にまたがり、多くの地権者が混在する中、そのレシピには多様な選択肢があり、今後も、トンネル群と廃線跡の様々な魅力を発見し、みんなが楽しめる空間を考案していきたい。
 欧米では、トンネルは、不気味な地底への入口と忌み嫌われる存在だと聞く。片や日本では、川端康成の小説『雪国』が「国境の長いト ンネルを抜けると雪国であった。」と始まるように、別世界・明るい未来へつながるタイムトンネルといったポジティブなイメージで捉えられているように思う。将来、この愛岐トンネル群を通して、多くの団体や組織が地域の明るい未来を一緒に語れますように。希望と夢は、線路と共に、どこまでもつながるのである。 【終わり】

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